目標(めあて)
人見知りで母子分離が難しい子、とっても元気で活発な子、身体を動すことがキライな子、どんなタイプのお子さんにも、そしてどの活動にも共通のめあてがあります。それは、「止まる」・「おしまい」を意識する事ができるようになるということです。
自分のタイミングではなく、先生からの声掛けや目印を手掛かりに「意識して自分の身体を止める」事が出来る様になる事は、ルールのある集団生活を送るうえで、とても大切です。楽しく活動に取り組みながら、他者からの指示や目印に気づいて、それに従って「止まれる」ようになると、頭の中の思考も「思いついたら(目に入ったら)即実行」ではなく「今はやっていい時かな?」と考えられるようになり、目に入ったものに向かって突進してしまう、という事が無くなります。
「身体を使って出来る様になる」と、その後、状況に応じて「脳から指令を出して、自分自身をコントロールする」という事ができるようになります。また、脳の神経回路の発達が盛んな幼児期に、全身を使って様々な刺激を身体を通して脳に与え、好き勝手に自由に活動しているだけでは育ちにくい神経回路をあらゆる方向に沢山張めぐらせておくことは、発達段階の初期において、とても重要です。
児童発達支援「luna(ルナ)もりのこびとたち」活動の流れ
luna(ルナ)もりのこびとたちでは完全個別指導、かつ1回の利用者を3名までに限定し、一人ひとりの発達特性に応じたプログラムに取り組みます。
- ごあいさつ・準備体操
先ずは先生とご挨拶。準備体操では、自分の身体をどううごかせば、どのように動くのかを知る。真似ができる様になる事を目指します。 - 歩行練習
音楽に合わせて「動く」・「止まる」ことが出来る様になる事を目指します。はじめは走りまわってしまう子も、先生と個別に手を繋いで、自分の好きな音楽に合わせて楽しく歩行練習に取り組むことができるようになります。 - サークル運動
足の裏を刺激して、地に足をつけて歩けるようになる事を目指します。様々な触感を足の裏で感じながら、足の指もしっかり使って足の裏全体で、床を蹴って歩くことができる様になる事を目指します。また、様々な障害物を用意して、トラップをクリアーしながら楽しく全身を動かします。 - 運動タイム
身体に様々な刺激を与える事で、自分の身体を感じられるようになり、感覚の相互作用がスムーズになる事を目指します。また、普段はあまり意識する事のない「固有覚」「前提覚」に刺激を与える運動を楽しみながら、身体を通して脳に沢山の刺激を送り、運動をクリアーすることで、脳内の相互作用を促します。 - 工作タイム
手指の巧緻性、微細運動の発達を促します。触感に過敏があるお子さんには、その子が「大丈夫」と思えるような工夫をして少しづつ苦手な触感を克服できるように支援します。また、不器用なお子さんにはスモールステップで、一つ一つの動作を丁寧に指導。小さな成功体験を積み重ね、達成感を味わえるように取り組みます。 - 読み聞かせ・ごあいさつ
楽しく活動した後のクールダウンの時間です。「動」の時間と「静」の時間を組み合わせ、行動の切り替えがスムーズにできるようになるよう、また脳の覚醒レベルを適切に保てるように活動に取り組みます。
「びん感」と「どん感」
感覚の個性の図
この図は、感覚の感じ方について分類しています。たて軸は感覚に「びん感」か「どん感」か、横軸は感覚に「受動的」か「能動的」かです。
感覚は五感と前庭覚(バランス覚)・固有覚(ボディ覚)を合わせた7個の感覚です。すべてが「びん感」あるいは「どん感」ということではなく、子どもによって○○はびん感だけど△△はどん感という場合も多く、子ども一人ひとりが違う感覚反応を持っています。
子どもの気になる行動には必ず理由があります。それを理解するポイントは、「本人が困っているからその行動をする」ということです。
友達に乱暴してしまう子は、もしかしたら、ボディ覚や触覚がどん感なために、自分がどれ位の力を入れたらいいかがわかっていないかも知れません。
その場合、その子への関りは、「お友達に乱暴しちゃダメでしょう」と注意するのではなく、力加減を発達させるためにボディ覚や触覚に働きかける環境で遊ばせて、その感覚の発達を促すことの方が重要です。
感覚統合・運動療法を取り入れた、完全個別のプログラム
一人ひとりの発達特性・発達段階を見極め、楽しく取り組めるプログラムを作成
一人ひとりの発達特性・発達段階を見極め、楽しく取り組めるプログラムを作成
感覚統合療法の基本的な考えでは、
①子どもたちが自分から求めている、楽しいと思える活動(やってみたい)を
② 子供たち自身が自分から能動的に行い(やらされるのではなく)
③ うまくいったと実感できること(成功体験)
この3つがそろっている時、感覚統合機能が最も発達する、と考えられています。そのため、活動内容は、子どもたち一人ひとりが「楽しい!」と思えるものになっています。個別指導により、一人ひとりの感覚入力をうまく整理し、子ども自身が色々なことに気がつけるよう、また適切に体を対応させていけるよう、感覚入力の方法(触り方、揺らし方など)を微妙に調節したり、関わり方を工夫して、自己肯定感を育みながら子ども達の発達を支援します。
※写真は、触覚過敏がある子でも安心して着用できる、ボディ覚を刺激するスーツを着用して活動する様子です。